見えない手綱を握る――ダイレクトアダプティブステアリングの真価

スカイライン400R

 スカイライン400Rに搭載されている「ダイレクトアダプティブステアリング(DAS)」は、日産が世界に先駆けて実用化した革新的なステアリング技術です。2014年にV37型スカイライン前期型「200GT-t」に世界で初めて搭載され、現在ではスカイライン400Rを含むV37型全車に標準装備されました。

ダイレクトアダプティブステアリング(DAS)とは

 ダイレクトアダプティブステアリング(DAS)とは、ステアリングホイールとタイヤの動きを電気信号でつなぐ「ステア・バイ・ワイヤ」技術となります。操舵は電子制御で行われますが、電源喪失による緊急時にはクラッチが接続され物理的なステアリングシャフトによる操舵が可能となることで安全性が確保されています。

 DASは次の3つの要素で構成されています。

  • 入力部:ステアリングホイール
  • 伝達部:電子信号による操舵指令
  • 変換部:モーターによるタイヤの向きの制御

ダイレクトアダプティブステアリング(DAS)の特徴

 DASの主な特徴は次のとおりです。

  1. 操舵精度の向上
    DASはステアリング操作に対して、迅速に正確なレスポンスを提供。ドライバーが意図した通りの走行ラインをトレースしやすく、特に高速走行時やワインディングロードでの安定性が向上します。
  2. 路面状況に応じた制御
    路面の凹凸などによるステアリング取られをDASが自動で補正し、滑らかなステアリング操作を実現。ドライバーの疲労が軽減され、長距離でも快適なドライブが可能となります。
  3. 路面からのフィードバック
    路面からの感触は、ステアリングに組み込まれたモーターでドライバーにフィードバック。操る楽しさを感じられます。
  4. サスペンションとの連携
    DASの操舵情報をIDS(インテリジェント ダイナミックサスペンション)に送り、サスペ減衰力を緻密に制御。車体の挙動を安定化させることで、フラットな乗り心地を実現しました。

 一方で、DASは物理的な接続がないため、「ハンドルが軽い」や「レスポンスが過敏」などの意見も見かけます。従来の物理的なステアリングシャフトによる操舵とはまったく別次元の感覚となるため、ドライバーにより賛否が大きく分かれる部分となりそうです。

総評

 スカイライン400Rでダイレクトアダプティブステアリング(DAS)を初めて体験したとき、ステアリングの従来とは異なる感覚に驚かされました。操舵が電気制御されるためハンドルは軽く、反応は非常に滑らかで正確。思い描いたとおりの走行ラインをトレースし、まるで車と対話しながらドライブしているような一体感。路面の凹凸もほとんど感じることがなく、長時間の運転でも疲労感はほぼ皆無。最初こそ違和感がありましたが、慣れると快適さと安心感に魅了されます。
 DASは単なる技術ではなく、運転そのものの質を高めてくれる存在。従来の“手応え”とは異なるものの、未来的でありながら自然な操舵性能がDASの最大の魅力だと感じています。

タイトルとURLをコピーしました